トマトは古くから親しまれている食材ですが、近年では加熱調理向けの品種が注目を集めています。生で食べるトマトとは違い、加熱することで甘みや風味が増し、料理に深みを加えることができるのが特徴です。本日は、加熱調理向けのトマト品種について、さまざまな角度から掘り下げていきます。
加熱調理向けトマト品種の種類
加熱調理向けのトマト品種には様々な種類があり、それぞれ特徴が異なります。ここでは代表的な品種を紹介します。
「すずこま」
農研機構と全国農業協同組合連合会が共同開発した「すずこま」は、加熱調理に最適な品種です。生で食べるとあまり甘味はありませんが、加熱することでうま味が増し、料理にコクが出るのが特徴です。リコピン含有量も多く、栄養価の高さも魅力となっています。
周年栽培が可能なため、年間を通して加熱調理を楽しめるのも嬉しいポイントです。
「にたきこま」
「にたきこま」は、生食用品種の約半分の多汁性で、加熱濃縮したトマトソースの粘度が高いのが特徴です。パスタ料理によくからみ、濃厚な味わいが楽しめます。また、無支柱栽培が可能で省力化にも適した品種です。
主要品種の「なつのこま」より4割程度多収で、病害にも強いため、生産者にも人気の品種となっています。
その他の代表的品種
- シシリアンルージュ(イタリア・シシリア島原産、加熱で甘みが増す)
- ミニトマト(小さめサイズで加熱調理向き、甘酸っぱい風味)
- ロケットトマト(鮮やかな赤色、加熱で深い味わい)
加熱調理向けトマト品種の特徴
加熱調理向けのトマト品種には、生食用のものとは異なる特徴があります。ここではその違いについて解説します。
水分が少なく糖度が高い
加熱調理向けのトマトは、生食用のものに比べて水分が少なく、糖度が高いのが特徴です。このため、加熱すると甘みが増し、風味も濃厚になります。生食用トマトは水分が多いため、煮崩れしやすいという課題があります。
また、糖度が高いことで料理にコクが出やすく、深みのある味わいが楽しめます。
色調が良く、酸味が強め
赤い色合いが鮮やかなのも、加熱調理向けトマト品種の特徴です。加熱することで、より深みのある赤色になります。酸味も生食用品種より強めなので、調理に深みを与えることができます。
また、一部の品種では完熟したものを使うことで、甘酸のバランスが良好になるとされています。
サイズが大きめ
品種名 | サイズ |
---|---|
すずこま | – |
にたきこま | 60~70g程度の卵形 |
ミニトマト | 小さめサイズ |
その他の品種 | 大きめサイズ |
上記の表のように、加熱調理向けトマトの多くは大きめサイズとなっています。ミニトマトを除けば、60g前後の大きさが一般的です。大きめサイズだと、料理に使いやすく、味が染み渡りやすいというメリットがあります。
加熱調理向けトマトの活用方法
加熱調理向けトマトの魅力を最大限に生かすには、適切な活用方法が重要です。ここではいくつかの活用方法を紹介します。
トマトソースやスープへの活用
濃厚な風味が楽しめるトマトソースやスープには、加熱調理向けトマトがぴったりです。煮崩れしにくく、味が濃縮されるため、本格的な味わいが味わえます。パスタソースや、人気のトマトスープなどに最適でしょう。
また、水分が少ないため、味が薄まらずとてもコクのある仕上がりになります。
グリルや炒め物への使用
グリルや炒め物にもトマトを使うと、新鮮な酸味と甘みが料理に良いアクセントを加えられます。大きめサイズのトマトを使えば、食べごたえも増します。
特に、硬めのトマトであれば形を保ちやすく、料理がよりカラフルに仕上がるでしょう。
ドライトマトの作成
加熱調理向けトマトは、ドライトマトの材料にも適しています。ゼリー質の部分を除いて乾燥させることで、コリコリとした食感の干しトマトが作れます。ドライトマトを使ったピザなども美味しく仕上がるはずです。
自然乾燥やオーブン乾燥など、様々な方法でドライトマトが作れるでしょう。
まとめ
加熱調理向けのトマト品種は、生で食べるものとは違った魅力があります。水分が少なく糖度が高いため、料理に深みのある風味を与えてくれます。また、赤い色合いが鮮やかで酸味も楽しめます。代表的な品種には「すずこま」や「にたきこま」などがあり、トマトソースや炒め物などに活用できます。ぜひ、様々な料理で加熱調理向けトマトの魅力をお楽しみください。