はじめに
「緑肥って興味あるけど、実際どうやって使うの?」 「作物との兼ね合いが難しそう…」
そんな悩みを持つ方に向けて、この記事ではヘアリーベッチの特徴と活用法、そしてサニーレタスとへアリーベッチによる土壌改良と栽培の両立を目指す実践的な畝の使い方をご紹介します。
家庭菜園でも農業でも、土を育てながら野菜をしっかり作りたい人におすすめの内容です!
ヘアリーベッチとは?

ヘアリーベッチはマメ科のつる性植物で、主に緑肥として使われます。
- 秋まき・春まきの両方が可能
- 根粒菌と共生して窒素固定を行う
- 土壌改良、地力回復、雑草抑制効果も
とくに葉物野菜との相性が良く、耕作の合間に入れることで土がふかふかになり、後作の育ちが良くなります。
また、窒素固定能力も非常に高く、海外では窒素肥料を使わずにへアリーベッチのみで作物を育てている地域もあります。
ヘアリーベッチのメリット・デメリット

✅メリット
- 窒素固定で土に自然な肥料効果
- 地表カバーで雑草抑制
- 根が深く入るので土壌構造が改善される
- すき込み後の腐熟が早め(約2〜3週間)
- 冬越し可能で管理しやすい
⚠️デメリット
- つる性で繁茂しすぎると管理が面倒
- すき込みタイミングが遅れると種がこぼれ、雑草化するリスクあり
- 腐熟中に作物を植えると窒素飢餓のリスクあり
- 病害虫の温床
- 気候依存
サニーレタス×ヘアリーベッチ
サニーレタスは植え付けから収穫までおよそ3週間程度と短く、育苗をセルトレイで管理すれば、収穫と植え付けを同時に回すことが可能です。
そのため、ヘアリーベッチの腐熟期間を考慮しながらも、畝をローテーションで使うことで栽培と土壌改良を同時並行で実現できます。
年間を通じた畝別の栽培ローテーション計画
今回の栽培プランは以下の方針で設計しています
- ヘアリーベッチは年1回栽培・すき込みすることによる窒素供給・土壌改良を目指す
- サニーレタスを主として年間で「植える →育てる →収穫する →休ませる →また植える」の自然な流れを構築循環
- 化学肥料依存の軽減
- 初心者でも無理のない余裕のある作業設計

各畝の年間作業カレンダー(簡略)
月 | 主な作業内容 | 補足・ポイント |
---|---|---|
1月 | 休耕・畝の整備 | 必要なら草刈りやマルチ片付けなど軽作業 |
2月 | ヘアリーベッチの種まき | 寒冷地は3月でもOK。広葉雑草抑制にも◎ |
3月 | ヘアリーベッチの生育期 | 放任OK。水やり不要。じっくり地力アップ |
4月 | ヘアリーベッチの生育期 | 草丈30〜50cm程度で安定。雑草も出にくい |
5月上旬 | ヘアリーベッチのすき込み | 花芽が出る前が理想。トラクター or 手耕うん |
5月下旬〜6月中旬 | 腐熟期間(約2〜3週間) | 微生物が分解し、窒素が使いやすい形に。他作物の植え付けは避ける |
6月中旬〜下旬 | サニーレタス種まき(セルトレイ) | 発芽は涼しい環境で。遮光ネット併用で安定 |
7月上旬 | 畝立て・サニーレタスの植え付け | 曇りの日や夕方に定植するのが理想 |
7月下旬〜8月中旬 | 成長期:追肥・病害虫防除 | 気温が高いため、寒冷紗や潅水で管理を |
8月下旬〜9月上旬 | サニーレタス収穫 | 収穫後すぐに畝を整備すれば秋まきにつなげやすい |
9月中旬〜下旬 | 秋まき用サニーレタス種まき(セルトレイ) | 気温が落ち着き発芽も安定。害虫も少なめ |
10月上旬 | 畝立て・秋まきサニーレタスの植え付け | 風が涼しくなり、苗の活着もスムーズ |
10月下旬〜11月 | 成長期:追肥・病害虫防除 | 防虫ネットは不要なことも多いが、夜間冷えに注意 |
11月下旬〜12月上旬 | サニーレタス収穫 | 冷え込みで葉に甘みが増す。日持ちも良い時期 |
12月中旬〜1月 | 畝片付け・冬の休耕 | 次年のヘアリーベッチに備えてマルチ除去・整地など |
補足のヒント
- ヘアリーベッチは草丈30〜50cm程度で刈り取ってすき込むのがベスト
- サニーレタスの品種は「グリーンリーフ系」や「晩抽性」タイプが管理しやすい
- 畝幅は90〜100cm程度にして作業スペースも確保
- セルトレイ育苗なら気温・虫・日差しの影響を受けにくくて安心
栽培プランのポイント
このプランでは7月定植→8月収穫が1回目のサニーレタス作型になっています。
セルトレイやポットなど直播以外で育苗する場合は、へアリーベッチすき込み後の腐熟期間に育苗することにより、より早い時期に収穫することも可能です。
夏場の葉物野菜の管理に不安がある場合は、サニーレタスではなく夏野菜(トマトやきゅうり等)に切り替えて、サニーレタスは秋口からの栽培にするなどの変更も可能です。
各作業の間に2〜3週間の「余白」があるため天候や予定に左右されにくく、焦って作業に振り回される事を避けています。
土を育てて、野菜とともに暮らす

ヘアリーベッチで土を育て、サニーレタスで実りを味わう——
そんな循環を自分の畑でつくれたら、農業はもっと楽しく、もっと続けたくなるはずです。
今回ご紹介したローテーションプランは、収穫と土づくりを両立しながら、作業にも心にも余白を残す設計です。
ぜひ、あなたの畑にもヘアリーベッチのやさしい力と、サニーレタスの緑の恵みを取り入れてみてください。
次の季節には、きっともっと豊かな風景が広がっているはずです。
栽培効率を上げたい方、土壌改良をしたい方は、ぜひ取り入れてみてください!